執筆: 魚住琢(株式会社SAL 代表取締役)
SNS担当者が退職するとき、引き継ぐべきものは作業一覧だけではありません。投稿の目的、表現の判断基準、社内の承認者、過去の素材、アカウント権限なども、次の体制で使える状態にする必要があります。
この記事では、対応を二段階に分けます。最初に、情報発信や問い合わせ対応を止めないための暫定体制を作ります。その次に、判断基準とノウハウをどこへ残すかを決め、採用・運用代行・SNS常駐支援・併用から最終体制を選びます。
最初に確保するもの
退職日が近い場合は、新しい運用方法を決める前に、次の情報を確認します。
- 各SNSの管理者権限とログイン方法
- 二段階認証に使う会社管理の連絡先
- 過去の投稿、画像、動画、企画書、レポート
- 投稿ごとの目的と確認していた指標
- 表現やブランドに関する社内ルール
- 投稿の承認者と、問題発生時の連絡先
- 制作会社や出演者など外部関係者との契約・連絡履歴
個人のメールアドレスや端末だけに権限が付いている場合は、会社が管理できる状態へ移します。すべての情報を復元できないときは、残っている権限・素材・投稿履歴・社内承認者を整理し、確認できる範囲から暫定運用を設計します。
判断は「暫定運用」と「最終体制」に分ける
採用・運用代行・常駐支援は、一つだけを選ぶ必要はありません。採用を続けながら外部支援で空白期間をつなぐなど、役割を分けて併用することもできます。
| 選択肢 | 向いている状態 | 社内に残る役割 | 確認したい点 |
|---|---|---|---|
| 後任を採用する | SNSが事業の中核で、社内に教育と承認を担う人がいる | 戦略、制作、運用、改善 | 採用までの暫定運用と教育担当を決められるか |
| 運用代行を使う | 目的と方針は社内で決められ、制作・投稿作業を補いたい | 目的、企画、承認、評価 | 契約範囲外の判断を誰が担うか |
| SNS常駐支援を使う | 担当者不在でも運用を続けながら、判断基準を社内へ残したい | 最終承認と事業判断 | 外部が入る会議、制作範囲、社内移管の方法 |
| 採用と外部支援を併用する | 採用を続けつつ、空白期間の運用と体制整理も必要 | 採用後の責任者と最終承認 | 採用前後で外部の役割をどう変えるか |
暫定運用で決めること
暫定運用の目的は、すべてを以前と同じように続けることではありません。優先するSNSと投稿を絞り、止めてはいけない情報発信、問い合わせ対応、承認の流れを先に確保します。
社内で運用を引き受ける場合も、外部へ任せる場合も、誰が企画し、誰が制作し、誰が承認し、誰が公開後を確認するかを一度書き出します。担当者名だけでなく、判断する内容まで決めることが重要です。
最終体制で決めること
最終体制では、次の三つを基準に選びます。
- 退職までに使える準備期間はどれだけあるか
- 社内にSNS経験者や教育担当者がいるか
- 投稿作業だけでなく、企画や判断基準も社内へ残したいか
社内に判断者がいて作業だけが不足しているなら、運用代行が候補になります。判断者の不在や部門間調整が課題で、運用しながら体制も整えたいなら、常駐支援が候補です。採用を選ぶ場合も、採用までの暫定運用を別に決めます。
AIに任せることと、人が決めること
AIは、投稿文の初稿、情報整理、過去投稿の分類、数値集計、レポートの下書きなどを補助できます。ただし、出力が事実に合っているか、ブランドの方針に合うか、公開してよいかは人が確認します。
また、事業目標との接続、部門間の調整、表現の最終承認、問題発生時の意思決定も人が担います。担当者の退職を機に、AIで補助する作業と、人が責任を持つ判断を分けておくと、次の担当者が変わっても運用しやすくなります。
株式会社SALのSNS常駐支援
株式会社SALのSNS常駐支援は、月額40万円〜、最低契約期間6ヶ月です。戦略・企画、会議参加、コンテンツ制作、投稿、監視、レポート、改善の範囲を案件ごとに設計し、出社とオンラインを組み合わせて支援します。
引き継ぎ資料が少ない場合は、利用できるアカウント権限、過去素材、投稿履歴、社内の承認者を確認し、現状整理から始めます。対応できる範囲は残っている情報と社内体制によって異なるため、開始時に復元できることと社内確認が必要なことを分けます。
完全に外注して社内の判断をなくしたい企業や、短期の数値だけを求める企業には向きません。成果を確認する期間は、アカウントの状態、目的、社内体制、支援範囲によって異なり、特定期間での成果は保証していません。
体制を選ぶ前の確認表
- 会社が管理するアカウント権限を確保できている
- 過去素材と投稿履歴の保存場所が分かる
- 継続するSNSと、いったん止めるSNSを決めた
- 投稿の目的と確認する指標を説明できる
- 企画、制作、承認、公開、分析の担当を決めた
- 採用までの暫定運用を決めた
- 外部支援へ任せる範囲と、社内に残す判断を分けた
この確認表で空欄になる部分が、次の体制で補うべき役割です。
よくある質問
Q. 引き継ぎ資料が少ない場合は、どこから始めますか?
引き継ぎ資料が少ない場合は、利用できるアカウント権限、過去素材、投稿履歴、社内の承認者を確認し、現状整理から始めます。株式会社SALで対応できる範囲は、残っている情報と社内体制によって異なるため、復元できることと社内確認が必要なことを開始時に分けます。
Q. 何ヶ月で運用体制が安定しますか?
必要な期間は、アカウントの状態、目的、社内体制、支援範囲によって異なります。契約時に目標と中間指標を確認し、現状整理、役割分担、承認フロー、日々の運用、改善を一連の仕組みとして整えます。特定期間での成果は保証していません。
Q. 担当者がまだ在籍中でも始められますか?
始められます。在籍中の担当者と外部の担当者が並行して運用する期間を設け、判断基準を共有しながら引き継ぎます。開始時期と並行期間は、退職予定と社内体制に合わせて設計します。
Q. 採用と常駐支援を並行して進められますか?
採用と外部支援を並行して検討できます。株式会社SALで対応する役割、採用後に社内へ引き継ぐ役割、支援期間を、採用計画と現在の運用状況に合わせて事前に確認します。

